2012.12.31 Monday
八重から何を学ぶのか?
NHK大河ドラマに山本八重が登場するので会津が話題になり観光客がどっと押し寄せるはずと会津ではものすごい盛り上がりを見せています。この一年は原発事故のあった昨年よりも観光客が減って疲弊している会津を元気にしてくれるのは他にないようなので応援するしかないかなとも思いますが、今年最後の私の意見を聞いてください。
私には「八重から何を学ぶのか?」が疑問となっています。
NHKの番宣では「勝者が歴史を作ってきたが、敗者にも光を当てたい。戊辰戦争で賊軍とされた会津藩には素晴らしい女性がいた」というような口ぶりですが、私に言わせれば封建主義の社会の中で勝者敗者ははっきりしています。本当の敗者は会津藩ではなく、武士の争いに巻き込まれて痛めつけられた民百姓なのです。その点をしっかり踏まえておかないと、大河ドラマも大したことないなと思ってしまいます。かと言って民百姓は歴史を作るような大それたことはしていないし、ドラマにするには無理があるとお偉いさんたちは思っているんでしょうが…。
そもそも私は「白虎隊から何を学ぶのか?」が疑問です。
会津で生まれ会津で育ったのですが、この疑問がずーっと残っているからです。
白虎隊を悪く言うつもりはありませんが、御恩奉公という封建時代に起きた悲劇です。ですからその古いしきたりを悪いとは何故言わないのでしょうか。殿様のために命を投げ出す、国のために命を投げ出すことだけを美化していて、その仕組みが今の世の中に悪影響を及ぼしているのがわからないのでしょうか。
今の世の中で、会社のために命を投げ出すという人はいないでしょう。人の命より大事なものがあるのかとみんなが思うことです。しかし、国のために命を投げ出すといった方向にいかなければ困る人たちがいるのも事実です。
明治新政府は「富国強兵」を打ち出し軍備を強化しました。その政策のスローガンとして白虎隊の忠誠心が素晴らしいものとして日本全国に宣伝されました。そして、その後も軍国主義の時代へ引き継がれ、サムライを真似して下士官は刀を差し、軍国主義を謳歌していたのです。
先日、小出裕晃氏が原発事故に関して意見を求められていた際に「日本はかつての戦争について『本当に反省したのか』といえば、私から見れば「全然していない」と述べていました。
目から鱗です。
そうです。日本はまだ太平洋戦争の反省をしていないのではないでしょうか。それは軍部が悪かったからとか、戦争犯罪人たちが処刑されたからそれでお終いだなどと思っていないでしょうか。軍部の暴走を許してきた自分たちがいたはずですから、自分の心の中のそういった考え方を反省していないのではないでしょうか。それともそんな昔のことはどうでもよくなってきて目の前のきれい事にうつつを抜かしているんでしょうか。
あの時代がまたやってきても自分には関係ないとでも思っているのでしょうか。
そんな考えでこの国の人たちは原発を許してきたのでしょうか。
原発事故の被害を一刻も早く防がなければなりません。そのためにも、御恩奉公という私たちの刷り込みを取り除かなければなりません。
八重も白虎隊も素晴らしい人たちです。それを観光の目玉にするのが悪いとは言いません。でも、間違った刷り込みにより誤った行動をしたとするならば、似たような物の考え方を刷り込まれているのは愚かです。そんな刷り込みが今もなされているという現実をしっかりと自分の眼で見て欲しいのです。