今頃になって「夏子の酒」が読めたのです。テレビドラマ化されたのも知ってはいたんですが、テレビは原作の言いたかったことの半分も言っていないという意見を聞いていたのでこれは見る必要がないなと思っていましたが…。
喜多方の大和川酒造の休憩室にお酒のバイブルとして置かれている「夏子の酒」を全巻貸してくれた友人がいてとても感謝しています。
昨日は午前中は二日酔いで仕事にならず、午後はやっと普段の状態になったので仕事を始める前にちょっと一巻だけ読もうかと思いました。しかし、二巻、三巻、四巻と読み続けてしまい、途中で勿体ないからあとは明日、と決めて仕事にかかったのですが頭の中は物語の続きを考えて仕事になりません。えーい、こうなりゃ今日は仕事を休みにして読むぞーっと思った頃には夕方が近づいていました。
で、結局12巻ぜーんぶ一日で読んでしまいました。だってとても面白かったんだもーん。
私は30歳を過ぎた頃まで日本酒が嫌いでした。
友人の蕎麦屋さんでそんなことを言ったら「だったらこれを飲んでみな」と言って出された飲み物にびっくりしたことがあります。そのお酒は、今までの余ったるくて飲むと口の周りがベタベタしてやたら喉が渇く私の苦手な日本酒ではありませんでした。はじめは「なにふざけてんの。お酒だって言っていて水を飲ませて…」と言いたかったほどです。ところが次の瞬間に日本酒のほのかな香りと味がしてきて口から出た言葉が「う・ま・い」でした。
戦後の日本酒業界は、アル添とか三増酒とかいうまがいもののお酒を作っています。それが大手のやり口であり、私たち庶民にはその二級酒がありがたかったのでしょう。でもそれが私の日本酒嫌いになっていた訳ですからおかしなことですよね。
でも今は小さくても本物のお酒を造ってくる蔵元がいっぱいあるし、その味をわかってくれる消費者も増えています。
そんなことからこの「夏子の酒」が20年近く昔に出されたことに驚きを隠せません。
なんたって有機農業がなんたるものかをここに移住する三年前には知らなかったアラカンの私なんですもの。あーカミングアウトしちゃった〜。