2006.11.30 Thursday
「TVドラマ・白虎隊」に一言。
何度かTVドラマになっている会津の白虎隊ですが、もういい加減話題にするのはやめにして欲しいと思います。会津では禁句なのでしょうが、私は白虎隊が美化されるのが嫌いです。
全国的に美化され伝えられ始めたのが日清・日露戦争の頃。時は「富国強兵」の真っ只中。兵隊の精神の支えとして白虎隊の散り際の良さが売り物にされました。そして、太平洋戦争時代、「忠君愛国」の精神にも合致するというのでまたもや全国的に流布されました。それで日本人のほとんどがこの話を知るようになったのです。
当時、支配階級にいた侍の子どもたちは「日新館」に通って「ならぬことはならぬ」などと教わっていました。けれど、同じ年頃の百姓の子どもたちは空腹のまま田んぼに出て自分たちが口にできない米を育てていたのです。なにが「ならぬことはならぬ」なんでしょうか。当時の支配階級がぬくぬくと白い米を口にしていることのほうがよっぽど「ならぬこと」です。
現代の若者が自分のことを「侍」と思っている人も多いでしょう。でも、実際の侍=武士階級がやってきたことを考えればそうは言ってられないでしょう。それは、当時の人口比率5%ぐらいの侍が威張り散らして、残りの95%の農工商の民はどんな暮らしをしていたのかを考えればわかることです。さらに、現在の会津でそれを言うなら、このことだけはしっかりと覚えていて下さい。鶴ヶ城が落城した時、城下に集まり万歳を連呼した人々が大勢いたという歴史的事実があるのです。これは今まで苛められ堪え忍んできた農工商の民の雄叫びです。
その後、会津藩士は猪苗代町の開拓地か青森県斗南藩に移住しろと決断を迫られますが、猪苗代町では付近の農民に仕返しされるのが怖いなどの理由から遠方の土地へと旅立ちました。藩士のいない会津を再興してきたのは農工商の民です。その子孫があなたなのです。あなたの祖先は、田んぼを這いつくばっていた農民かも知れません。落城の際に万歳を連呼した人々かも知れないのです。
「白虎隊」のことを悪く言うつもりは全然ありません。時代の波に翻弄され美化され続けてきたことのほうが可哀相です。安っぽいTVドラマで思い出されるようなものではいけないのです。 文責・CHA
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